寝屋川長女監禁事件とは?監禁された柿元愛里と逮捕された両親!
寝屋川長女監禁事件とは、2017年12月に発覚した、大阪府寝屋川市の住宅のプレハブで、柿元愛里さん・33歳が遺体となって発見された事件のことです。
柿本愛里さんは、両親である柿元泰孝と柿元由加里により、10年以上にわたりプレハブに外側から鍵をかけられ監禁され続けました。満足な食事は与えられず、治療も受けられないまま、衰弱した状態で凍死してしまったと言われています。
二度と起こってほしくないような事件ですが、今回の記事では、寝屋川長女監禁事件の被害者である柿元愛里さんや、逮捕・起訴された両親、事件の内容や、この事件において問題視されている点についてご説明いたします。
柿元愛里とは?
寝屋川長女監禁事件の被害者である柿元愛里さんとは、どのような人物だったのでしょうか。こちらの項目では、寝屋川長女監禁事件の被害者である柿元愛里さんについて、詳しくご説明いたします。
「寝屋川監禁事件」で死亡
柿元愛里さんは、2017年12月に発覚した寝屋川長女監禁事件で命を落とした被害者です。亡くなったときの年齢は33歳で、裸で毛布に包まった状態で大阪府寝屋川市の住宅のプレハブで発見されたと言われています。
16年間両親に監禁される
柿元愛里さんは、2002年から2018年にかけて、両親により16年間も住宅のプレハブに監禁されていました。父親である柿元泰孝と母親である柿元由加里により、プレハブの外側から鍵をかけられていたとのことです。
寝屋川長女監禁事件の概要
聞くに恐ろしい寝屋川長女監禁事件ですが、この事件が起こってしまったきっかけや、事件の概要はどのようなものだったのでしょうか。こちらの項目では、柿元愛里さんの死因や、逮捕された柿元愛里さんの両親・柿元泰孝と柿元由加里について、詳しくご説明いたします。
低栄養による凍死事件
柿元愛里さんは、16年間に及ぶ監禁の中で、満足な食事が与えられなかったことが原因か、12月という極寒の中、裸に毛布1枚の状態で、栄養失調状態も極限を迎え、眠るように凍死したとのことです。
遺体として発見されたときは、身長149cmに対して体重が19kgと、痩せ細ってしまった状態だったそうです。
自首した父親の柿元泰孝
柿元愛里さんの死を受け、父親の柿元泰孝が寝屋川警察署に「娘が死んだ」と自首したことで、柿元由加里の逮捕に繋がり、この事件の背景で起こっていた数々の衝撃的な事実が明らかになっていきました。
母親の柿元由加里も死体遺棄容疑で逮捕
父親の柿元泰孝が逮捕されたことをきっかけに、母親の柿元由加里も逮捕されました。当時は、監禁と保護責任者遺棄致死の疑いではなく、死体遺棄容疑での逮捕だったとのことです。
保護責任者遺棄致死容疑と監禁で再逮捕
事件が明るみに出た2018年1月、柿元愛里さんが2002年から2018年にかけて16年間プレハブに監禁されていたことが明らかになり、柿元泰孝と柿元由加里は、保護責任者遺棄致死と監禁の疑いで大阪府警捜査1課により逮捕されました。
逮捕当時、柿元泰孝・柿元由加里は容疑を否認していて、「16~17歳頃から精神疾患で(柿元愛里さんが)暴れるようになったため、プレハブに監禁していた」「療養が目的の監禁だった」と供述していました。
寝屋川長女監禁事件が起きた理由
理由もなしに親が娘を16年にわたって住宅のプレハブに監禁し、栄養失調で凍死するまで放置しておくなどということは、考えづらいものです。
寝屋川長女監禁事件が起きた理由には、柿元愛里さんの抱えていたある病気と、その対処法がわからなかった両親という2つの点が存在します。こちらの項目では、寝屋川長女監禁事件が起きた理由について、詳しくご説明いたします。
柿元愛里は統合失調症だった
事件が起こった理由の1つに、柿元愛里さんが統合失調症を抱えていた点が挙げられます。柿元泰孝・柿元由加里の供述によると、統合失調症は柿元愛里さんが15歳の頃に発症し、16歳~17歳頃から、暴れ回って家族を傷つけたり、柿元愛里さん自身が自傷行為をしてしまったりしたことがあったそうです。
統合失調症とは?
統合失調症とは、思考や感情をうまくまとめることができなくなる(統合することができなくなる)病気です。統合失調症の症状は、大きく幻覚や妄想などが見られる「陽性症状」と、意欲の低下などが見られる「陰性症状」、物事に臨機応変に対応しにくくなる「認知機能障害」の3種類に分けられます。
幻覚や妄想などが見られる陽性症状の場合、あるはずのないものが見えたり、起こるはずのないことを信じ込んでしまったりするなどの症状が表れます。幻覚は、視覚だけに留まらず、視覚や聴覚、触覚などのさまざまな五感に現れます。
統合失調症の中でも多く見られるのが、悪口や命令など、実在しない声が聞こえてしまう幻聴だそうです。また、「悪口を言われている」や、「誰かに監視されている」など、実際には起こっていないことを信じ込んでしまう症状も多く見られます。
意欲の低下などが見られる陰性症状の場合、喜怒哀楽の表現が乏しくなり、感情の起伏がなくなったり、やる気が低下したりするなどの症状が表れます。他人と視線を合わせなくなったり、興味や関心を失ってしまったりする場合が多いようです。
物事に臨機応変に対応しにくくなる認知機能障害の場合、1つのことに集中できなかったり、細かい点で物事を判断するため全体を把握できなかったりするなどの症状が表れます。また、物事をグループ化して考える力(似ている点や違う点を1つのまとまりとして捉え、分析する力)を失ってしまうという症状が表れます。
統合失調症を罹患している患者が全てそうというわけではありませんが、これらの症状が頻繁に起こると、日常生活に支障が出てしまいます。柿元愛里さんもそんな統合失調症を患っていました。
両親は社会から隔絶
必ずしもというわけではありませんが、日常生活に支障の出てしまいやすい統合失調症。この病気に限らず、精神疾患の患者が精神科にかかりたがらない、もしくは精神疾患の患者を持つ家族が精神科にかかりたがらないという事例は数多くあります。
また、精神疾患の患者の家族が、患者から受ける暴力や、患者が寄声を発するなどの言動に耐え切れず、「自分の子どもの様子を周囲の人に知られたくない」「隠しておきたい」と思うケースも少なくないそうです。
寝屋川長女監禁事件が起こった理由がそれに該当したかどうかは不明ですが、両親である柿元泰孝と柿元由加里は、柿元愛里さんを社会から隔絶すべく、2002年から柿元愛里さんの監禁を始めました。
次女は長女に無関心
柿元愛里さんの妹は、先に家を出ていて、別居していたとのことですが、次女の証言によると、柿元愛里さんが17~18歳くらいのときからほぼ姿を見ていないそうです。
両親が柿元愛里さんを監禁し始めた頃と同じくらいですが、姉が突然いなくなったことを不審に思わなかったのか疑問が残ります。無関心だったと捉えられてもおかしくはありませんが、真相は闇の中です。
寝屋川長女監禁事件の環境
寝屋川長女監禁事件において、柿元愛里さんが監禁されていたプレハブというのは、どのような環境だったのでしょうか。こちらの項目では、柿元愛里さんが16年間にわたり監禁されていたとされるプレハブの環境について、詳しくご説明いたします。
劣悪な環境の監禁部屋
柿元愛里さんが監禁されていたスペースは、もともと子ども部屋として利用されていたスペースで、柿元愛里さんの監禁が始まった2002年に二重扉に改造され、内側からは出られないようになっていました。スペースは、簡易トイレと給水タンクだけが置かれたわずか2畳半ほどの空間だったそうです。
冷房はありましたが、暖房はなく、その冷房も12℃設定だったため、極寒の12月のプレハブの中では凍死しても無理はありません。まさに環境は劣悪だったと言えるでしょう。
普通ではあり得ない健康状態
柿元泰孝と柿元由加里の供述によると、1日2食は与えていたものの、2017年1月から急激に痩せ始めたそうです。しかし、痩せ始めたにも拘わらず、逆に健康状態を配慮してとの理由で、柿元愛里さんの食事を1日1食に変更してしまいました。
そのためか、2017年12月に遺体として発見されたときは、身長149cmに対して体重は19kgしかなかったそうです。
供述内容が本当かどうかはわかりませんが、身長149cmに対して体重19kgというのは、明らかに健常な数値ではありません。栄養失調が限界を迎えていたことに間違いはないでしょう。
監視カメラが無数に存在
監禁部屋の異様な点はそれだけに留まらず、部屋には監視カメラが無数に存在し、柿元泰孝と柿元由加里は、ダイニングのモニターで柿元愛里さんの様子を監視していたようです。
両親による柿元愛里さんの監視の目的は、健康状態の把握のためか、外に逃げ出さないようにするためか定かではありませんが、まるで囚人のような扱いではないでしょうか。
虐待は監禁前から
驚くべきことに、寝屋川長女監禁事件の被害者である柿元愛里さんは、小学校6年生のときから父親に虐待を受けていた可能性があるとも指摘されています。元同級生の証言によると、身体にあざがあり、「父親が怖い」と柿元愛里さんが発言していたそうです。
また、大量に設置された監視カメラの映像から、柿元愛里さんはプレハブに監禁される前から、複数の小部屋に閉じ込められ、小学校6年生~中学生にかけて、既に隔離が始まっていたという説も唱えられています。
目に見えるところにあざがある点や、柿元愛里さんが「父親が怖い」と発言している点、監視カメラの映像などを考慮すると、監禁が始まる以前の小学校6年生のときから虐待を受けていた可能性はとても高いと考えられるでしょう。
また、異変に気付いた同級生は、何度も担任に訴えていたとのことでした。これについて寝屋川市教育委員会は、「当時の資料がないため、検証が難しい」としましたが、再発防止策を講じるとのことです。
当時、柿元愛里さんと同級生で、同じクラスだった33歳の男性は、担任教師に「なぜ柿元愛里さんが学校に来ないのか」と何度も尋ねたそうですが、「家庭の事情がある」の一点張りで答えてもらえなかったようです。
「もっと行動を起こせば良かった」と悔やんでいるとのことですが、学校側もなぜ不審に思わなかったのか疑問が残ります。
柿元愛里の精神疾患は嘘だった?
柿元愛里さんの精神疾患である統合失調症ですが、実は元々病気ではなかったのではないか?と一部の間で囁かれています。この噂は本当なのでしょうか。こちらの項目では、柿元愛里さんの精神疾患が嘘と言われている理由についてご説明いたします。
通院は一切なかった
柿元愛里さんは、複数の病院で統合失調症との診断を受けていますが、継続して通院した経歴は一切残っていなかったとのことです。愛里さんが暴れたという供述はあるものの、事実確認もできていないとのことで、本当に統合失調症だったのか疑わしいとの声が挙がっています。
また、小学校6年生のときから虐待を受けていた可能性が指摘されている点からも、監禁の理由は柿元愛里さんの病気以外にあると考えることもできます。
中には「元々病気ではなかったのに、監禁を続けたことによって病気の症状が出てきてしまったのではないか」と疑問視する声も挙がっていて、未だに謎が多く残る事件です。
犠牲を無駄にしないために
柿元愛里さんが16年にわたり拘束された寝屋川長女監禁事件。そして、保護責任者遺棄致死・監禁の容疑で逮捕・起訴された柿元愛里さんの両親である柿元泰孝と柿元由加里。
二度と起こってほしくない凄惨な事件ですが、その背景には、精神疾患への偏見や、精神疾患の患者家族が頼れる場所が少ないという地域社会の問題点が潜んでいるのかもしれません。
当時は今ほど親による子どもの虐待が問題視されておらず、行政による監視の目が行き届いていなかった可能性も考えられます。
実際にこの事件では、柿元愛里さんが小学校6年生のときから虐待を受けていた可能性が指摘されている点から、監禁の理由が統合失調症ではなく、理由のない虐待であるという可能性も提唱されています。
現在も柿元泰孝・柿元由加里が容疑を否認し続けているのは、極刑を避けるためなのか、精神疾患の娘を抱えて頼る場所がなく監禁という結果に至ってしまったからなのかは定かではありません。
今後、一人一人が精神疾患への理解を深めることや、患者家族が頼れるような場所を増やすことなどが求められると同時に、親による子どもの虐待が起こらないような行政の工夫が必要なのではないでしょうか。
しかし、精神疾患で悩んでいる方や、精神疾患の患者家族の方の中には、無理に外部から介入されることでより閉塞的に感じてしまう方も少なくはないでしょう。精神疾患をオープンにしても、偏見の目で見られない世の中になることを祈るばかりです。