大祓詞の意味って?効果や唱え方など徹底解説
「大祓詞」という言葉を聞いたことはありますか?お家で神道に関わるものがある人や、神社によく行くという人は目にしたことがあるかもしれません。長い白い紙に綺麗な字で言葉が書かれているイメージが強い大祓詞ですが、そもそも大祓詞は何のためにあるのかご存知の方は少ないでしょう。
大祓詞は祝詞の一種で、唱えるとその人の穢れや悪い物を祓ってくれる効果があると言われているものです。これは言霊という信仰で、言葉には霊力が宿るとされている考え方です。今回は、この「大祓詞」について効果や唱え方などを解説していきます。
大祓詞とは?
大祓詞とは、神様に奏上する言葉だとご紹介しました。もともとは西暦700年ほどの平状況や平安京といった京都に都が置かれていた時代に毎年6月30日と12月31日に全国の神社で行われるお祓いの行事を「大祓」と言いました。
この大祓の行事に置いて唱えられていた祝詞が大祓詞と呼ばれています。このように昔からある大祓祝詞は、約1300年もの間なんと毎日全国の神社で唱えられています。ここでは大祓詞について読み方や流行のきっかけ等についてご紹介します。
「大祓祝詞」は「大祓詞」同じもの
神社やお札の中に「大祓祝詞」と言う言葉があるのを目にしたことがある方もいるかもしれません。これは大祓詞と同じものと言われています。地域や神社によって大祓祝詞と表記していることがあります。
そのため、「大祓祝詞」と「大祓詞」には明確な違いはありません。そもそも大祓祝詞は祝詞の1種なので、大祓祝詞もそれを省略した大祓詞も同じものです。
大祓祝詞の読み方はおおはらえのことば
初めて「大祓祝詞」という言葉を見たときに、この漢字を何と読めばいいのかわからないという声も多くあります。この「大祓祝詞」は「おおはらえのことば」と読みます。名前の由来はは大まかに、大祓という行事で読まれた祝詞なのでこのような大祓祝詞と言う名前になりました。
大祓詞は祝詞の一種
大祓詞は祝詞の1種ですが、そもそも祝詞とは神道において強い言霊を持っている神様に奏上をするときに使う言葉です。言霊とは言葉に宿る霊力のことで、口に出して話すことによって力が発揮されると考えられている力です。
「ポジティブな言葉を使うと実際に良いことが起こる」というのは、この言霊によるものなのです。大祓詞に宿っている言霊は実際に口にして唱えると、その人の穢れや悪い物を払う効果があります。
大祓詞流行のきっかけは初音ミク
こうして大祓詞が注目され、流行するきっかけになったのは大祓詞とは一見全く関係がないように思える初音ミクによるものでした。2014年に「世界でいちばん聖なるうた」をコンセプトに公開された初音ミクの「大祓詞-Song of the Oharae-」。
この楽曲はじわじわとブームを広げ、若者にとって大祓詞を身近なものへと変化させました。賛否両論ありましたが、神道や神社と関わりが薄くなってしまっている現在では、この初音ミクの楽曲によって大祓詞を知ったという人も少なくありません。
ようつべやニコニコで若者も視聴
初音ミクによって大祓詞が流行の兆しを見せると、若者が多く視聴しているニコニコ動画やYouTubeなどでも大祓祝詞を紹介する動画が多く投稿されるようになりました。
最近ではテレビよりもパソコンで動画を見ることの方が多い小学生や中学生といった若者にとってもこのような動画共有サービスを使って大祓詞が視聴されるようになりました。
大祓詞の原文(全文)
大祓詞は前段と後段に分かれていて、前段では日本という国がどのようにできたのかを語られていて、後段では悪いものや穢れを祓うという行為を行った後に罪や穢れがどのように消えていくかが描かれています。ここでは、大祓祝詞の全文を前段と後段に分けてご紹介します。
大祓詞の原文【前半】
まずは前段の日本の成り立ちについての文面をご紹介します。漢字が多くわからない単語も多く出てきますが、一度読んでみると美しい言葉だということを感じることができます。本来は漢字のみで書かれる物ですが、ここでは分かりやすく書き下されたものをご紹介します。
「高天原に神留まり坐す、皇親神漏岐神漏美の命以て、八百万神等を神集へに集へ給ひ、神議りに議り給ひて、我皇御孫命は、豊葦原瑞穂国を、安国と平けく知食せと、事依さし奉りき、此く依さし奉りし国内に 荒振神等をば、神問はしに問はし給ひ、神掃へに掃へ給ひて、言問ひし磐根木根、立草の片葉をも事止めて
天の磐座放ち、天の八重雲を、伊頭の千別に千別て、天降し依さし奉りき、此く依さし奉りし四方の国中と、大倭日高見の国を安国と定め奉りて、下津磐根に宮柱太敷き立て、高天原に千木高知りて、皇御孫命の瑞の御殿仕へ奉りて、天の御蔭日の御蔭と隠り坐して、安国と平けく知食さむ、国内に成り出む天の益人等が
過ち犯しけむ種種の罪事は、天津罪、国津罪、許許太久の罪出む、此く出ば天津宮事以ちて、天津金木を本打ち切り末打ち断ちて、千座の置座に置足はして、天津菅麻を本刈り断ち末刈り切りて、八針に取裂きて、天津祝詞の太祝詞事を宣れ」
大祓詞の原文【後半】
それでは、次は後段の汚れを払った後にどのように罪がなくなるのかについての部分をご紹介します。ここで言う罪や穢れとは人間にとっての悪事や憎しみといった良くない心のことだけを言うのではありません。罪や穢れは病気などの原因となり、気力を失わせるものなのです。
「此く宣らば、天津神は天の磐戸を押披きて、天の八重雲を伊頭の千別に千別て聞食さむ、国津神は高山の末低山の末に登り坐て、高山の伊褒理低山の伊褒理を掻き別けて聞食さむ、此く聞食してば罪と言ふ罪は有らじと、科戸の風の天の八重雲を吹き放つ事の如く、朝の御霧夕の御霧を朝風夕風の吹き掃ふ事の如く
大津辺に居る大船を舳解き放ち艪解き放ちて大海原に押し放つ事の如く、彼方の繁木が本を焼鎌の利鎌以て打ち掃ふ事の如く、遺る罪は在らじと祓へ給ひ清め給ふ事を、高山の末低山の末より佐久那太理に落ち多岐つ、早川の瀬に坐す瀬織津比売と言ふ神、大海原に持出でなむ、此く持ち出で往なば
荒潮の潮の八百道の八潮道の潮の八百曾に坐す速開都比売と言ふ神、持ち加加呑みてむ、此く加加呑みてば、息吹戸に坐す息吹戸主と言ふ神、根国底国に息吹放ちてむ、此く息吹放ちてば、根国底国に坐す速佐須良比売と言ふ神、持ち佐須良比失ひてむ
此く佐須良比失ひてば、罪と言ふ罪は在らじと、祓へ給ひ清め給ふ事を、天津神国津神八百万の神等共に聞食せと白す」
大祓詞の意味
実際に大祓詞を読んでみて、とても難しいと感じた人が多いでしょう。難しく言える言葉や普段使わない言葉などが多く使われているため、なかなか意味を理解するのが大変だと言うのも理解が難しい原因の1つです。そこでここでは、大祓詞の意味を神社本庁の見解でご紹介します。
大祓詞についての神社本庁の見解
大祓詞は1300年前から毎日神社で奏上されているものなので、神社本庁の見解が今の所もっとも正しいとされている見解です。ここでは、その神社本庁の大祓詞についての見解をご紹介します。
前段の見解
前段ではまず、高天原と言う天上にある神様の国から大祓詞は始まります。「そこ(高天原)にいる皇祖神の命令によって八百万の神が集まり、皇御孫命に日本を穏やかに平和な国にするよう任せることが決まりました。日本にはたくさんの神様が住んでいて、様々な困難がありながらも国土は平穏になりました。
そこで、ニニギノミコト(皇御孫命)は日本に宮殿を建てて、その宮殿に入りました。日本では、国民が間違って様々な罪や穢れを引き起こす。罪穢れが出た場合は、天上の神様の儀式に則って神様が授けた効果の高い祓えの祝詞を奏上しなさい。」
といった内容のことが書いてあります。要約しているのでもっと詳細な意味を知りたい場合は、神社などで神主さんに尋ねると快く教えてもらえます。
後段の見解
後段は、「祓えの祝詞を正しく唱えると、天上の神様は天にかかっているたくさんの雲を掻き分けてその言葉を聞いてくださるでしょう。このように高天原の神様が祝詞を聞き届けてくださると、この世の罪と言われるものは全て消えなくなることだろう。
あらゆる罪を1つも残らず消え去るようにと願い作られたのがこの大祓詞である。祓われた罪は川とともに女神様が大海原へと持ち去ってくださる。その罪はまた別の神が飲み込み、黄泉の国に吹き払ってくださるだろう。
このように私たちが「祓えたまえ清めたまえ」と奏上することを聞き届けてくださり、そのお力を振るい授けてくださいますように謹んでお願い申し上げます。」と言う意味です。様々なきれいな言葉で、罪が祓われた様子を示していることがわかります。
大祓詞の効果
大祓詞は、言霊が宿る祝詞だとされていて、読むことによってその言霊の効果を得ることができます。そのためもともとは毎年2回の祭事の時にのみ読まれていた祝詞ですが、今では神社に参拝をしたときに唱えるという方も多くなってきています。ここでは大祓詞の効果についてご紹介します。
唱えた人の罪や穢れを祓う
大祓祝詞はもともと罪や穢れを払う儀式で奏上されていた言葉なので、効果にも唱えた人の罪や穢れを払ってくれるというものがあります。唱えることで罪や穢れを払ってくれると言うのは、日本に古くから伝わる言霊という考え方に大きく関係しています。
言葉には霊力が備わると考えられていて、大祓詞は神道の中でもとても重要な祝詞であるため、言霊としての効果はとても大きいと言われています。穢れを払うことで、その人が犯してしまった罪の負のエネルギーや、気力を奪う穢れをなくすことができます。
潜在意識を浄化する
大祓祝詞には罪や穢れを払うと言う効果があることから悪いことから自身を遠ざけ潜在意識を浄化することができると言う効果も期待できます。悪いことから遠ざかることによって運気が上昇し開運にも繋げることができます。
大祓詞(祝詞)の唱え方
大祓詞を唱えてみたいと思った場合でも、読み方がわからない難しそうといった理由から敬遠されることが多い大祓祝詞。しかし、大祓詞はしっかりと読み方や唱え方を理解すれば、難しく考える必要がなく毎日読むことも不可能ではありません。
ここでは大祓詞の読み方や唱え方についてご紹介します。基本的に自分で読み上げる、唱えると言った場合には大祓詞を奏上する手順があります。まずは二拝し、大祓詞を読み上げます。その後二拝二拍手一拝と続き、大祓詞を奏上する手順が終了します。
ひらがなで1文字づつ丁寧に唱える
実際は、大祓祝詞の意味をしっかりと解釈することができていなくても読み上げるだけで効果を実感することができます。これは神様が下さった言葉を人間が解釈する必要がなく、読み上げるだけで神様の加護を得ることができるという考え方にちなんでいます。
また、大祓詞を唱えるときにはひらがなで一文字ずつ丁寧に唱えることが大切です。これは読み間違えることによって正しく言霊の力を得ることができないためです。そのため大祓詞を唱えるときにはひらがなで書かれた大祓祝詞の紙を持ち、1つずつ丁寧に読むように心がけましょう。
ネット上にPDFもあるので印刷してみよう
一文字ずつ丁寧に読み上げる際には、自分で読み方を紙に書いておくのも良いですがネット上にPDFファイルとして公開されているものもあるので、それを印刷して使っても良いでしょう。大祓詞は特別な時に読むのではなく普段の生活に取り入れることが大切なので、無理にハードルを上げず自分のできる範囲の読み方で行うようにしましょう。
唱えるのが大変なのでCDも活用
毎日大祓詞を唱えるのが大変だという場合にはCDを活用することも可能です。このような神様に読み上げるようなものにCDを使うのは抵抗がある方も少なくないかもしれません。しかし、CDの中には神社が販売しているものもあるので、気になる場合にはそのような商品を購入すると良いでしょう。
Youtubeの動画
CDを利用することができるので、神社などが公開しているYouTubeの動画を使って神様に大祓詞を奏上することもできます。また、自分がしっかりと大祓詞の読み方を覚えるまでのサポートとして使用することもできます。
大祓詞を生活に取り入れてみよう!
大祓詞は、人間の罪や穢れを払うことができる言霊の力を持った祝詞です。もともとは神社で大祓という行事を行う際にしか読み上げなかったこの大祓詞も、最近では毎日神棚に向かって読み上げたり神社に参拝した時に読み上げたりと人々の生活に馴染んできています。
大祓詞を読むときには一文字ずつ丁寧に読む読み方が一般的です。ネット上のPDFファイルやCD、YouTubeといったアイテムも上手く活用して、読み方に気をつけながら大祓詞を生活に取り入れてみましょう。